人生は展開するもの、それは突然に。

これは私がいつも力を抜いて生きられている根底にある信念だ。

物事を延長線ではなく断片的に重ねられているものだと腹の底から思えた時、目の前にきたものに純粋な感覚でとことん挑戦できるのだと思う。

先日とても久しぶりに自分のお店の外へ飛び出した。

今、この夏に熱海にオープンするカフェレストランでのワインのセレクトについてのお仕事をさせてもらっている。

6年前、わたしはずっと勉強と実践を繰り返してきた努力の結晶であるワインを超えてライフスタイル全般を扱う仕事にシフトした。これも意図したことではなく、間違いなくわたしの人生に起きた展開で、その時わたしは一旦ワインから手を離した。あの時から人生をコントロールすることをすっぱりやめたのだ。

ワインをやらないと決めたわけではなく、展開するものへ身を委ねそこに真剣に向き合うこと、そうしていればわたしの中で消えない情熱と愛着があったワインはいつかきっと自然な形で巡ってくる、そう信じながら随分と時が経った。そのいつかは一向に気配がなくもう何も巡ってこないのかもしれないと思っていた、そんな矢先に突然お声がかかった数ヶ月前のこと。深いところで「これはできるできないではなくやるやつだ」ブランク、忙しさ云々やらない言い訳はたくさん見つかったけどそれを抜きに自分の深い感覚だけを信じて前に進んだ。

展開したこと一つ一つにきちんと向き合っていくと不思議と自分の中で全てが繋がることを今回とても強く感じた。それは先に言った過去からの延長線という意味ではなく、全く違う一つ一つの物事が全て1本の軸でできているということ。

自分の物事の捉え方に明確な一貫性が完成しているのだ。

ワインも本質を掴んでそこから何を選択するかそのものをシンプルに捉え、丁寧に選択していくこと、周りの情報ではなく主体的に物事を自分の(今回でいうとレストランとオーナー様の)価値基準でとらえていくと、なにかちがうなという感覚はなくなり自ずと核にあるものが満たされていく感覚、生き方になる。

自分の中にある信念は形を変え表現を変え、わたしの視点や在り方が扱う対象物が変わったとしてももうぶれないのである。

むしろ自分に巡ってきた想定外のものに真剣に打ち込んだからこそ、精度が増した確信すらある。

ワインに関してはもっともっと形を変えてベストなタイミングで自分に展開してくるはずだ。それは今自分のちっぽけな頭では考えずに、今求められていることを自分ができることと擦り合わせながら、真剣に形にしていく。求めてくれる人の深い部分を満たせるような仕事がしたい。

抗わないこと、感覚を羅針盤にすること、目の前にきたものに真剣に向き合うこと。

その繰り返しの中で、自分が想像する以上の展開を楽しみ続ける人生にしたいし、もっともっと自分が今世やることを深く濃いものにしていきたい。

ワインの仕事はとても楽しい。

色々抽象的なことを書いてしまったけど、今回の展開を一言で表すなら純粋にこれだけだったりする。

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