蒸し暑くてジトーッとした汗が止まらないこの季節、私は自分の匂いが気になって仕方なくて、、。

じゃぶじゃぶ洗えるからとコットン素材の白Tシャツをかなりの頻度で着ていました。だけど汗をかくたびに脱いではその匂いを嗅いでみて

「ああ、やっぱりにおうかも、、涙」

気づけば自分の中で少し悩みに近い感覚になっていたように思います。

そこでここにきて改めて本当の意味で着るものの素材と真剣に向き合ってみることに。

これまでも永くシルク製品を扱っていますが、随分と涼しげな顔で「シルクは人間の肌の成分に近しい素材で、それでいて通気性防湿性に優れ、紫外線もカット、何より静菌効果による匂いのしなさはピカイチです!」とお客様に語っていました。ここに偽りは何もないし、実際に私も使っていて肌に当たる感覚はとても気持ちいい、できるだけ肌にも快適にいてもらいたいという気持ちで大切なことだと信じて疑わなかった。だけどそのときの私は絶対にシルクでなくてはならない、とまでは困っていなかったんだと今になってようやく思います。

おまけにシルクを極力洗わなくて良いと力強く謳っている私は、実際に自分自身が洗わずにいて、それでいて長持ちさせたいからとあまりに汗をかくシーンではシルクを避けて洗濯のしやすい素材を選んでいたというのも一つあります。特に去年の夏のシルクニットはエアコン下でばかり着ていたなと。だからごめんなさい、私は本当の意味でシルクを理解しようと向き合っていなかったんだとどこか売り手として欠けている自分を反省しました。

そんなわけでもうこれは向き合いたい、むしろ自分の悩みとしてもシルクの可能性を探りたい、そんな気持ちでここ最近ずっと(まだ家ではエアコンもつけていない瀬戸際のこの時期にこそ)実験的にじゃぶじゃぶ汗をかくこのタイミングにシルクを着て、汗をかいてそして洗わずにまた着るというルーティーンをやってみました。

ブラに関しては速乾するシルクサテンだからか、こちらはもう5年以上やっているので慣れっこでこちらはどんなに汗をかいてももう特に気にならないのですが、やはり蒸れと体臭が出やすい脇下があるものはがっつり汗をかくとさすがの私も洗わないことに萎えました。

着ている時点で他の素材のような匂いは気にならなかったというのは一つ、でもシルクを知りたかった私はこれを洗わずにもう1日着てみます。

ちなみにこの時は夜のお風呂上がりにシルクブラとシルクニットを着用。せめても垢はつけまいと身体を入念に洗うのはポリシーです。翌朝、このまま徒歩で近所のカフェへ行き、その後気温30度以上ある中20分ほど息子を保育園へ送って帰宅するのに歩き(全身汗だく)、帰宅後エアコンを付けずに車に乗ってここでさらにジトーッと汗をかきました。その後お店の営業があったのでそのまま着続けようと思ってたのですが、なんだかここで不快感を感じてしまったので一旦シルクニットだけ脱いで乾かして夜また着ることにしました。(ブラは本当に慣れましたね)

正直に全部書きますが、脱いだ時シルクニットに自分の汗臭さは若干ありました。それをそのまま風通しの良い室内に万歳スタイルでばさっと置いておき、途中確認するとまだ匂いが気になり少し不安になりました。だけどお風呂前、完全に乾かすと無臭ではないのだけどそれは汗臭さと言われるものではなく普通の?自分の香りというか、言われなければ全く気にならないものになっていました。

これには本当に驚いたのと同時にシルクのポテンシャルを体感覚として信頼した瞬間でした。

これは2日目また着ましたよ〜という写真です。全く同じ格好なので信ぴょう性に欠けると言われればそうなのですが、でもまあ2日目なんです。

着ている時も不快感なく過ごしてまた翌朝同じようにそのまま屋外に出てまた同じように汗をかきました。そして匂いの結果も前日と同じ。

ここで一つ断っておきたいのは、私は他の素材を否定したいわけではありません。今回は特に究極的に汗をかいたらという仮説の中でやっていますので少し極端です。ですのでこういったどうしようもなく不快な時期であったり、あとはお肌が元々弱い方にはぜひともシルクの力を信じて試していただけたらと思っています。これは個人的見解ですが万が一の災害時にもシルクが1枚あるだけできっとかなり助かるんじゃないとも思っています。

ちなみに2日連続がっつり汗をかきながら着たのちにそれ以降洗わないの実験はしておらず、全部正直に書いてしまえば、着ていたシルクニットは洗濯ネットに入れて洗いと脱水時間を短くして洗濯機で洗いました。(基本手洗い推奨ですが、そんな日もあるさ)

そんなわけで実験から3日目の夜はこのシルク上下セット。以前にも増してシルクを着ることの重要性を自分の中で強く実感しながら、デザインにおいても選択肢の幅があることが嬉しい。

実はこの流れでBasaraだけでなく弊店で取り扱いのあるHAKUJIにもシルク100%のワンピースがあって、今はこちらをお客様にもどこまで素材のポテンシャルを伝えられるかという実験的な観点も込めて少し前から実際に私が着用してみています。

こちらの素材はノイルシルクといってシルクの短繊維で、いわゆるシルク糸を作る際に本来は捨てられてしまっていたものを編み立てて生地に再生したもの。なので素材の機能としてはシルクとなんら変わりありません。

このコットンライクな編み立ての雰囲気がまさかシルクだなんて思わせずどちらかというと少しカジュアルで、とても着ていて軽やか。一見日常でさらりと着られるシンプルなワンピースですが、着丈もくるぶしあたりまである丈感で、前後ろにセンターラインがあることで縦長なスタイルに見せてくれ、裾のドレープがゆらゆらすとんと美しい。腕周りも内側に切り込みがあったりと細部までこだわりが詰まっています。こういうデザイナーズのワンピース、本当に大好き。

HAKUJIはこの他のアイテムを着ていても実感するのはとにかく縫製が丁寧で生地が強く耐久力もかなりあるのでこちらのシルクがどんな風に肌や生活そのものに馴染んでいくのか、新しい我が子を迎えた気分でBasara同様に大切に育てていきます。

不快な時ほどシンプルに自分の快適を模索する。

外的要因を変えることも簡単に出来るかもしれないけど、シルクという自分自身の選択だけでこれほど小さな満足が得られることに最近の私はニンマリしているのです。そして素材をはじめとした自分が扱っているものの特性や本質というものにしっかり向き合っていきたいと改めて心に決めたのでした。

Basaraのシルクニット

HAKUJIのシルクワンピース